突然ですが、あなたが運営しているオウンドメディアに「コンセプト」はありますか?
実は成功しているオウンドメディアは、しっかりとしたコンセプトのもと運用されているのです。
「コンセプト」を明確に定めていないと、読み手側から見たときに記憶に残らないメディアになってしまいます。
今回は、メディアを運営する上で大切なコンセプトの設計方法を紹介します。
オウンドメディアのコンセプトとは何か?
そもそも”コンセプト”とは、どんな意味なのでしょうか。
「コンセプトの教科書」の著者である細谷さんは、「全体を貫く新しい観点」と書籍の中で述べています。
この言葉だけだと、少し抽象的ですよね。
もう少し具体的にすると、
・なぜそれがあるのか
・企業と顧客をどのようにつなげたいのか
・どのようなメリットをもたらすのか
を言語化したものがコンセプトとなるのです。
コンセプトは、オウンドメディアだけでなく企業や商品、プロダクトなどみなさんの身の回りにあるさまざまなものにあります。
例えば「吸引力が変わらないただひとつの掃除機」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
これは、ダイソンが販売している掃除機のコンセプトになります。
オウンドメディアのコンセプトも同じで「全体を貫く新しい観点」、つまり
・なぜそのオウンドメディアはあるのか
・オウンドメディアと顧客をどのようにつなげるのか
・そのメディアはどんなメリットをもたらすのか
を一言で表したものがオウンドメディアのコンセプトになるのです。
オウンドメディアのコンセプトをつくるメリット
ここで、ある疑問がわいてくる人もいるのではないでしょうか。
「そもそもなんでコンセプトを決める必要があるんだろう?」
コンセプトを制作した効果は数値で見えるものではありません。
数値目標を追っていると、コンテンツの企画を考えたり、記事コンテンツを制作したりする方がいいのではないかと考えてしまいます。
ここでは、オウンドメディアのコンセプトをつくるメリットを見ていきましょう。
メディアに統一性が生まれる
コンセプトとは、「全体を貫く新しい観点」つまり記事コンテンツを企画するときの”軸”をつくることになるのです。
コンテンツを企画するときに”軸”がないと、面白そうだからや読んでもらえそうという観点で企画を進めてしまいます。
結果として、統一性のない雑多なメディアになってしまうのです。
企業としての信頼醸成やイメージ獲得のためにコーポレートコミュニケーションを目的としているメディアだと
より一層メディアに統一性を持たせることが大切になります。
差別化ができる
同じジャンルで運営しているメディアは記事の内容がどうしても似通ってきます。
競合メディアが多いジャンルで、差別化ができているメディアはオリジナルのコンセプトを持って運営しています。
例えば、ホンダアクセスが運営しているオウンドメディアのカエライフは「クルマとカスタムで暮らしをカエる」というコンセプトを持っています。
「クルマとカスタムで暮らしをカエる」というコンセプトのもと、「カスタム」をキーワードに、暮らしの中の“モノ”や“コト”に変化を加えることで、暮らしを“カエる”ヒントを発信しています。
自動車業界のメディアはたくさんあるため、ただ自動車まわりの情報を発信するだけでは多くの人の心には残らなかったでしょう。
コンセプトによって、多くの人のブランドイメージを変えることに成功したメディアになります。
チームで共通の目的ができる
オウンドメディアの運営に関わる人は多くに渡ります。
制作に携わる人によって記事コンテンツが大きく変わってしまうと、問題です。
「トンマナ」を決めることによって、文章表現やデザインに一貫性を持たせることができます。
しかし、「トンマナ」を決めるだけでは、記事の内容や伝えるメッセージに一貫性を持たせることができません。
なぜオウンドメディアを運用しているのかという「チームの共有目的」をつくるためにも、コンセプトが必要なのです。
「トンマナ」と「コンセプト」の2つを決めることによって、多くの人が携わるメディアに共通の目的を持たせることができます。
オウンドメディアのコンセプト設計方法
ここからはコンセプトを設計する方法を見ていきましょう。
まずは、いきなりコンセプトを考え出そうとするのではなく、オウンドメディアがどんなコンセプトで運営しているのか見ていきましょう。
情報収集が終わったら、自分たちが何をどんな風に伝えたいのか、顧客はどんなことを知りたいのか、この2つの輪郭を明確にしていくことで、「コンセプトの種」が見えてきます。
ここで出てきたコンセプトの種を磨いていくことにより、コンセプトができあがっていきます。
➀事例を見てインプットしよう
まずは他のオウンドメディアがどのようなコンセプトで運営しているのかを見て、情報収集をしましょう。
『アイデアのつくり方』という書籍の著者である、ヤングさんは「アイデアとは、0から突然生まれるわけではなく、既存の要素の新しい組み合わせ」といっています。
組み合わせるための既存の要素を手に入れるために、事例を見てインプットすることはとても大事な作業です。
このフェーズでしっかりと取り組むことができると、後の工程がスムーズに進むので飛ばさないようにしましょう。
他メディアのコンセプトを知りたいという方は、業種ごとにピックアップしてまとめている下記の記事を参考にしてください。
②オウンドメディアで発信したい自社の商品の強みを明確化する
ある程度情報収集が進んだら、いよいよコンセプト制作をはじめていきます。
まずは発信者である、貴社や貴社の商品がどのような特徴や強みを持っているのか考えて書き出してみましょう。
・具体的にどんな情報をもっているのか
・自社だからこそ伝えられる情報はないか
・何を伝えていきたいのか
・対談でアサインできる人はいないか
このような情報を小さいものから、大きいものまでいくつか考えていきます。
社内では当たり前だと思っていたことが、一般ユーザーから見ると刺激にあふれる面白い情報だったということはよくある話です。
そういったものを見過ごさないためにも、一通り書き出してみるのがおすすめです。
③読み手がどんな人なのか考えよう
自社の特徴を書き出し、発信したい情報が整理できたら次は、どんな人が読んでほしいのか、読み手のイメージを膨らませていきましょう。
このとき、できるだけ具体的にイメージを持つことが大切です。
読み手を具体的にすればするほど、コンセプト作りがスムーズに進んでいきます。
読み手を設定するときには、下記の要素を参考にしてみてください。
全部を入れる必要はなく、人物像として自分の中にストンと落ちることが大切です。
・名前
・年齢
・性別
・職業/役割
・年収
・住所
・趣味
・家族構成
・身長や体重
・交友関係
・1日のスケジュール
・利用しているSNS
・情報収集の方法
・購読している雑誌
・好きなブランド
・将来の夢
また、読み手を決めるときに、大切になってくるのが、どのような目的のメディアかということです。
アクセス数を増やすことが目的であれば、検索エンジンから流入してもらうことを想定して、幅広く読み手を設定する必要があります。
資料のダウンロードや問い合わせが目的なら、見込み顧客レベルの人をターゲットにする必要があります。
そのため、コンセプトを決める前にオウンドメディア運用の目的を決める流れが一般的です。
オウンドメディアの目的を決めていない人は、まず運用の目的を決めることからはじめましょう。
④自社と読み手をつなぐものがなんだか考えてみよう
ここまでのステップで、「自社がどのようなものをもっているのか」ということと「読み手の人物像」が見えてきたと思います。
この2つを繋ぐものが「コンセプトの種」になるものです。
「コンセプトの種」はすでに世の中にあるコンセプトである可能性が高いです。
ここで出てきた言葉をさらに磨いていくことで、。
⑤言葉を磨く
「コンセプトの元」となる言葉ができたら、言葉を磨いていきます。
「なぜ」「要するに」と自分の中で繰り返して、できた言葉を磨いていく必要があります。
オウンドメディアのコンセプト例
コンセプトを設定しているオウンドメディアはたくさんあります。
ここでは、3つのブランディング・リクルーティング・顧客獲得を目的としているメディアのコンセプトを紹介します。
それぞれ見ていきましょう。
Aktio Note
『Aktio Note』は「創造する人や革新をする人に気付きをあたえる」というコンセプトのもと株式会社アクティオが運営しているメディアになります。
ブランディングを目的としているメディアで、
アーティストやミュージシャン、スポーツ選手への取材をおこない
読むだけで、創造力が膨らみそうなコンテンツを発信しています。
サイボウズ式
『サイボウズ式』は「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレ―ションとITの情報サイト」というコンセプトのもと「チームワーク」「ワークスタイル」「多様性」を軸としたコンテンツを配信しています。
リクルーティングを目的としたメディアとなっており、コンセプトを軸に製品PRや宣伝をおこなわずに、社内での取り組みの発信や企業とのコラボコンテンツなどを発信しています。
ferret
『ferret』は読者からの問い合わせを目的としたメディアになっています。
「マーケターのよりどころ」をコンセプトに、マーケターの役に立つ最新の情報を発信しています。
コンセプトを設計してブレない運営を目指そう
成果の出るオウンドメディアを制作するためには、コンセプトの設計が欠かせません。
成果が出ていなかったオウンドメディアがコンセプトを設定したことで、成功した事例も数多くあります。
もし、今運営しているメディアにまだコンセプトがない場合はこの記事を読みながら考えてみてください。